Day 19 Remnants of flesh
久しぶりの母港、他のクルーは自由時間ということで、
船室で休んだり街で買い物を済ませたりと各々過ごす。
ぼくはというと、航海中はいつでも出撃の可能性があるという理由で、
しばらく出来ていなかったザミエルの身体のメンテナンスをしていた。
20年もの間、ぼくはザミエルのメンテナンスを担当してきた。
白磁製の人形のような肌は血色を表現するための人工皮膚の層を
真っ白な防刃シートに換装したり、バッテリーを増設したり、
関節部や人工筋肉は軍用のハイパワーモデルに差し替えるなどしているものの、
15歳の少年の姿はほとんど変わらない。
戦後は大幅に技術が後退して、ベースとなるボディは変えるに変えられないのだ。
本日のニュースです
ザザッ……ザーーーーッ
グレイヴネット障害が続き……ザザッ
人々の分断は……
あなたの傷跡って、何?
そういえば、あれはこの船を買って引っ越して生活が落ち着いた頃のことだった。
いつもと変わらず、ザミエルのメンテナンスを済ませた後、
脱衣かごの底に彼が常に着けていた金属製の細い円筒状のネックレスが
置き去りにされていた。
ぼくはすぐにザミエルの部屋に届けに行ったが、
「もう俺には必要ない。処分しておいてくれ」とあっさり受け取りを拒絶された。
言われた通りに処分するのも気が引けて、
しばらくの間ぼくのデスクに置きっぱなしになっていた。
それをある日、半ば興味本位で封印を解いてみた。
中は完全に密封状態になるよう仕掛けが施されていて、肝心の中身は、切り揃えられた黒く細い毛髪の束と、一本の記録媒体。
毛髪のほうは生身の身体だった頃のザミエルのものだろう。もうひとつの記録媒体は……震える手で端子に滑り込ませ、読み込んだ。
「これは……!」
―――何が『俺には必要ない』だよ、ザミエル……
これは、ぼくが責任を持って預かっておく。
本日のニュースです
ザザッ……ザーーーーーッ
……次々と解放されていく領域……ザザッ
……あと一歩です……ザザッ
大規模な電波障害が……ザザザッ……
あなたの希望って、何?