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死喰い鳥のザミエル


Day 23 Void Stasis


「破滅の今際にて、停滞せよ、世界」
「世界はいまのままで十分、美しいのだから」


去る7月8日、廃工場で聞いたフレーズが目の前で繰り返される。


フヌの今際に提供されたデータでのシミュレーションは、絶望的な結果だった。
司るは停滞と永劫。強引な加速機構で停滞を破る算段はついたが、
俺たちが駆るグレムリンとは格が違うと言わんばかりに、攻撃が通らない。


だが、フヌの残したメッセージ、ここでヴォイドステイシスが傭兵と相対していること。
このふたつの事実から、まだ勝機はゼロではない、と考える。


奴の時間凍結が真に完全なモノであるならば、
ここで俺たちと相対する必要はない。世界ごと停めてしまえばいいはずだ。
つまり、何かしらの穴があるという可能性がある。


そしてこれは、傭兵としての経験則だ。
あちらにとっては無敵状態で雑魚を潰すだけの作業に過ぎないはず。
そうやって勝利を確信している相手ほど、狩りやすい存在もない。


想いに応えるだの、神だの、世界だの、馬鹿馬鹿しい。
そんなもの、コミックや映画の中で充分だ。


――悪鬼は応えるはずだ。
培った技術と経験、日々の整備に。


本日のニュースです
ザザッ……ザーーーーッ
ザザッ……ザーーーーッ
ザザッ……ザーーーーッ
ザザッ……ザーーーーッ
傷跡を、我が手に


本日のニュースです
ザザッ……ザーーーーーッ
ザザッ……ザーーーーーッ
ザザッ……ザーーーーーッ
ザザッ……ザーーーーーッ
ザザッ……ザーーーーーッ
希望を、我が手に


――停滞を望むなら、1人でそうしていろ。ヒトを勝手に巻き込むな。